症状・診療案内
Symptoms
排尿障害(尿が出にくい)
尿が出にくい・勢いが弱い・時間がかかる
排尿に関する症状は、①排尿症状、②蓄尿症状、③排尿後症状に分けられます。①排尿症状は、尿を出すことに問題がある症状で、「尿が出にくい」、「尿の勢いが弱い」、「尿をするのにお腹に力をいれる」などです。②蓄尿症状は、尿を溜めることに問題がある症状で、「尿が近い」、「夜間排尿のために起きる」、「尿がもれる」などです。③排尿後症状は、排尿した後の症状で、「残尿感:排尿後にまだ膀胱に尿が残った感じ」、「排尿後尿滴下:排尿後下着に尿が少しもれてくる」といったものです。通常は①②③単独では無く、これらの症状が合わさってみられます。
尿漏れ・頻尿(男性/女性)
頻尿
「尿が近い、尿の回数が多い」という症状を頻尿といいます。朝起きてから寝るまでの排尿回数が8回以上の場合を頻尿といい、原因は様々ですが、過活動膀胱、残尿、尿路感染・炎症、腫瘍、心因性に分けることができます。
夜間頻尿
夜間、排尿のために1回以上起きなければならない症状を夜間頻尿といいます。加齢とともに頻度が高くなり、日常⽣活において支障を来す症状です。夜間頻尿の原因は、大きく分けて①多尿・夜間多尿、②膀胱容量の減少、③睡眠障害に分けられます。これらの3つの原因によって治療法が異なるので夜間頻尿の原因をまずはっきりさせることがとても重要です。
尿量が多いため夜間頻尿がおきることがあります。特に内科の病気が隠れている場合は、その病気に対する治療が優先されるため、注意が必要です。
▶多尿による夜間頻尿
1日24時間の尿量が多くなるために、夜間トイレに何度も起きるものです。1日の尿量が40ml/kg(体重)を超える場合(例えば60kgの体重の人は40ml/kg x 60kg =2,400ml)がこれに当たります。水分の過剰摂取、尿量を増加させる薬剤の内服、糖尿病などの内科の病気によるものがあります。
▶夜間多尿
夜間のみ尿量が多くなり、夜間トイレに何度も起きるものです。目安として、65歳以上の方では、24時間の尿量に対する夜間尿量の割合が33%を超える場合は、夜間頻尿と考えます。寝る前の水分の過剰摂取、薬剤性、ホルモンバランスの乱れ、高血圧や心不全、腎機能障害などの内科的疾患によるもの、睡眠時無呼吸症候群があります。
膀胱容量の減少は、少量の尿しか膀胱に貯められなくなるもので、膀胱が過敏になるために起こります。一般的には、昼にも頻尿になることが多いです。
▶過活動膀胱
膀胱に尿が少量しか溜まっていないのにも関わらず尿意を感じてしまったり、膀胱が勝手に収縮してしまう病気で、トイレに急いで駆け込む症状(尿意切迫感)があるものです。脳卒中、パーキンソン病などの脳や脊髄(せきずい)の病気で引き起こされる場合もあります。
▶前立腺肥大症
男性特有の疾患で、前立腺が大きくなることで排尿がしにくくなり、結果として膀胱が過敏になることがあります。
▶その他
質性膀胱炎や骨盤臓器脱などで夜間頻尿になることがあります。
血尿(泌尿器がん)
血尿
健診などの尿検査で、「おしっこに血が混じってます」とか「尿潜血陽性です」といわれた場合のいわゆる血尿は、腎臓や尿路系の病気のサインです。
血尿が発見される頻度は年齢とともに増え、男性より女性に多く見られます。血尿の原因としては、悪性腫瘍(がん)や結石、膀胱炎などの炎症、腎臓の内科的な病気など様々なものがあります。これらの病気をはやく発見するためには、健診や人間ドックなどによる尿検査が重要です。血尿が見つかった場合には、症状がないからと放っておかず、はやめの受診をおすすめします。
子供のおねしょ
おねしょ(夜尿症)
子どものおねしょ(夜尿症)は、「5歳以上で1か月に1回以上の頻度で夜間睡眠中の尿失禁を認めるものが3か月以上つづくもの」と定義されます。
7歳児における夜尿症の割合は10%程度とされ、その後は年間15%ずつ自然に治るとされますが、0.5~数%は夜尿症が解消しないまま成人に移行するといわれており、生活指導をはじめとする治療介入により、自然経過に比べて治癒率を2~3倍高めることができ、治癒までの期間が短縮するといわれています。
小学校入学後も夜尿症が続く場合は、小児科あるいは泌尿器科を受診することをお勧めします。夜尿症患児は夜尿のない対象のお子様と比較して、有意に自尊心が低いとの報告もあり、夜尿症が改善したお子様では自尊心の回復が見られたとの海外の報告もあります。
まず生活指導や行動療法を開始し、効果が乏しい場合には抗利尿ホルモン剤投薬または夜尿アラーム療法を追加します。
夜尿症のみでなく昼間の尿失禁など昼間の症状を伴うものも数10%に認め、これらに対しては昼間の症状の治療を優先します。
▶生活指導及び行動療法
就寝前にトイレに行くことや夜間の水分摂取の制限などがあります。
▶抗利尿ホルモン剤
夜間尿量を減少させる効果のある薬剤で就眠前に使用します。舌下投与で容易に溶ける口腔内崩壊錠ですので水なしでも容易に服薬できますが、水中毒を防ぐために就眠前2-3時間以内の水分制限が必要となります。
▶アラーム療法
濡れたら鳴るブザーで患児を夜尿直後に起こす治療で、自分で起きない場合は家族の協力が必要となります。この治療がなぜ夜尿に有効かはわかっていませんが、多くの場合は朝まで尿失禁をせずに持つようになり、睡眠時の膀胱容量が増加すると考えられています。
男性不妊(ED)
男性不妊症
きちんと膣内に射精できているのにパートナーが妊娠しない。通常の性生活にもかかわらず1年以内にパートナーが妊娠しない場合を不妊症といいます。パートナー(女性)だけに原因があると思っている方が多いのですが、約半数は男性側にも原因があるとされています。パートナーだけの問題でなく、男性も自ら精液検査を受けてみることが大切です。
勃起力の低下(ED)
勃起障害は英語でErectile Dysfunctionといいますが、その頭文字をとってEDと呼びます。EDは種々の原因で起こります。EDの主な原因としては、加齢、糖尿病、肥満と運動不足、心血管疾患および高血圧、喫煙、テストステロン低下、慢性腎臓病と下部尿路症状、神経疾患、外傷および手術、心理的および精神疾患的要素、睡眠時無呼吸症候群などがあります。また服用中の薬剤による副作用が原因でEDとなる場合もあります。
単に「年のせい」だけなく、メタボリック症候群のような生活習慣病もEDの大きな原因です。また、心血管疾患(心筋梗塞、狭心症など)の患者さんの多くが、その発症前にEDを自覚しています。高血圧で41.6%、糖尿病で42%、高脂血症で20%の患者さんがEDであったというデータもあります。EDになったら他の全身疾患が進行しつつあるかもしれないため、たかがEDと侮ってはいけません。
性感染症(男性のみ)
尿道口から膿が出る(尿道炎)
尿道口から膿が出るのは、尿道口から侵入した病原菌が逆行性に尿道の粘膜に感染し「尿道炎」を起こしているためです。尿道炎は主に性行為によって起こります。そのため、感染を予防するにはコンドームの使用がすすめられます。性行為後2~7日の潜伏期間を経て尿道口から濃い膿が多量に出て、強い排尿痛を認める場合は淋菌による尿道炎(淋菌性尿道炎)が疑われます。一方、性行為後1~3週の潜伏期間の後に尿道口からやや水っぽい薄い膿が少量出て、排尿痛が軽い場合はクラミジア性尿道炎が疑われます。淋菌やクラミジア以外の微生物が起炎菌(非淋菌性非クラミジア性尿道炎)もあり、また尿道炎は、普通の腟性交の他、オーラルセックスでも起こることがあります。
性感染症としての尿道炎の場合、ピンポン感染(ピンポン玉のやりとりのように、病原菌をうつしたり、うつされたりを繰り返すこと)を防ぐために、パートナーも一緒に検査と治療を受ける必要があります。